
アニメ・おそ松くんに出てくる“イヤミ”。前に突き出た前歯は見事な出っ歯で、独特なキャラクターを生み出しています。昔から、出っ歯の人を見ると、「とうもろこしを食べるとき、前歯が出ているからきれいに食べられね」なんて、笑いネタにしてきましたが、当人にとっては、笑うどころではないはずですよね。
出っ歯は正式な名称を上顎前突(じょうがくぜんとつ)といい、下の歯に比べ、前歯だけが飛び出している状態のものと、上顎の歯ぐきも歯と一緒に突き出ている状態のものとがあります。
前歯が前に出ているため噛み合わせが悪くなり、食べ物をうまく噛み砕くことができません。物を噛むとき、下顎を前にずらしてかむクセがついてしまい、放置しておくと顎の関節にも負担がかかってしまいます。また、ぶつかった拍子に歯が折れやすい、唇を切ってしまう、といった危険性もあります。
一方、外見上では笑うと歯ぐきが目立つ、くちびるが閉じくいなどの特徴があります。そのため口の中が乾燥し、歯周病の原因になることも。意識的にくちびるを閉じようとすると、くちびる周辺の筋肉が緊張し、下顎の先端(おとがい部)に梅干しのようなシワが寄ることもあります。
出っ歯の原因には、大きく分けると三つあります。(1)指しゃぶりなどの悪いクセによるもの、(2)歯と顎のバランスが悪いもの、(3)顔のゆがみによるものとがあります。
乳幼児に多い指しゃぶり(おしゃぶり)。ある程度の指しゃぶりは問題ありませんが、いつまでも続けていると、指で強い力を加え前歯を前に押し出してしまいます。そのために出っ歯になってしまうのです。そのほか、長期間指しゃぶりや唇を噛むクセを続けていることで、出っ歯になってしまう可能性もあります。
顎の骨が十分に発達しない、あるいは歯のサイズが大きい場合、顎が狭くなるので歯が生えてくるスペースがなくなってしまいます。そのため前歯が前に押し出され、出っ歯になることがあります。
左右の噛み合わせに不調和があると、顎の骨がずれたまま成長するため、顎にずれが生じてしまいます。その他に、顎の下に手をおくなどの悪い習慣があるため、顔や顎にゆがみが生じ出っ歯になる可能性もあります。また、口呼吸も出っ歯の原因の一つといわれています。これは、口呼吸が習慣化すると唇の筋肉にしまりがなくなり、歯が前に出てくるためです。
出っ歯の矯正治療のゴールは、前歯+奥歯の噛み合わせをよくし、きちんと物が噛めるようにすることです。ほとんどの場合は、患者さんの希望により歯の裏側に矯正装置を取りつける『舌側矯正(ぜっそくきょうせい)』で治療します。ただし、出っ歯の状態や程度により、部分矯正ですむ場合や全体矯正が必要な場合もあるので、歯や顎の状態により治療方法が異なります。
一般的に、歯だけが出ている場合は、部分矯正や上顎だけ、あるいは上下全体の舌側矯正などで歯を正しい位置に移動させます。一方、歯ぐきも出ている場合には、歯ぐきも一緒に内側に移動させる必要があります。いずれの場合も、顎の状態によっては、上の奥歯(小臼歯)を抜き、歯を移動させスペースを確保することがあります。なお、上顎が骨格的に過度に大きい場合は、外科手術で顎を小さくし、舌側矯正を行う場合もあります。
歯ぐきが出っ張っている出っ歯は矯正が難しいと思われがちですが、ほとんどの場合、舌側矯正で治療できます。また、出っ歯の場合、奥歯の噛み合わせが前にずれていることが多いので、正しい噛み合わせに戻すことも必要です。矯正治療により、前歯と噛み合わせの両方を正しい位置に戻せます。
費用は全体矯正の1/3程度。治療期間も全体矯正に比べ短く、前歯だけの歯並びの改善が行われます。症例によっても異なりますが、歯を動かす期間は1年以内が一般的です。
費用は全体矯正の1/2程度。部分矯正では治せない範囲を矯正でき、上顎だけの歯並びを改善ができます。
上下全体に矯正装置を装着するようになりますが、理想的な噛み合わせを作ることが可能です。
歯を支えている骨の表面部分にミゾを入れ、歯茎の骨の代謝を高める治療方法です。舌側矯正と併せて、矯正期間を短縮することが可能になります。
前歯の形と歯の色を同時に治せますが、歯ぐきの出っ張りを治すことはできません。